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縁結び?

今日仕事で資料をお借りしたら、
とんでもないものをみつけました。

緑井の岩谷の上にある毘沙門天には縁結び岩とよばれる場所があります。
岩壁の隙間に石を投げ、転がらずに留まれば縁が結ばれるというもので、
「元就。」緑井編でアンガールズの山根さんが大きい石を投げ過ぎて
見事に撃沈していたあそこです。
さて、そこの縁起をみつけたのですが、
その由来が
「武田山にあった銀山城最後の城主・武田光和が一人の娘を恋い慕うようになりました。
 その娘とは三入高松城主・熊谷信直の妹でした。光和は信直に妹を所望したのですが、
 信直は頑としてその願いを断りました。
 しかし、光和の恋慕は募るばかり。どうしてもあきらめることができません。
 そして、その満願の夜、毘沙門天が彼の枕元に立ち、
 「真実汝の願いが叶ふか、叶はぬか、我が境内にある造化の奇石に占え」
 と告げて消えました。
 夢からさめた光和は早速その奇岩を尋ねて、この珍妙な形の岩に石を投げてみました。
 石は思うように穴に這入りました。
 それからしばらくして光和は家老の品川右京亮が仲介人として信直に頼みこみ、
 ついにその願いを遂げることができたのでした。
 それ以来、この珍石は「縁結びの岩」と呼ばれる様になり、妻定めする若者は、
 恋しい女の名前を心にとなえつつ、石を投げてその成否を占うようになったといいます。」

ここまではいい話です。
はっきりいって子猫が小判に変わった話よりもよっぽど信ぴょう性があります。
まあ、拾った子猫が毘沙門天の加護で小判に変わったという話のほうが夢があって私は好きですが・・・。

それはさておき、ここにある武田光和の伝記は
伝記にしては珍しいことに多分完全に事実です。
陰徳太平記によれば

「武田光和と熊谷信直は水魚の如く親しい関係であったが、
 信直を討とうとした武田家臣山中重祐が逆に信直に討たれ、両者の関係は険悪になった。
 信直には容姿に優れた妹がおり、信直は妹を大事に育てていたため、 
 あまり知る人もいなかったのに、光和はそれを風の便りに聞き、
 姿も見ていないのに恋い慕うようになった。
 思いが募り、どうしても手にいれたくなった光和は信直を呼んで妹をくれるように頼んだ。
 しかし、信直は首を振り、
 「貴方はすでに御正室に吉川元経の娘をお持ちになっている。
  それなのに我が妹を妾にしたいとは口惜しいことを。」
 と全く相手にしなかった。
 光和は怒り、すぐにも信直を討ち果たそうとしたが、
 信直の舅にあたる品川左京亮が信直を諌め、信直の妹を光和の下に送った。
 光和は大変喜び、信直の妹と正室よりも夫婦らしく過ごした。」

ここまではよい話です。めでたしめでたしです。
問題はこの後です。

「ところが2年ほど過ぎた時、信直の妹は光和に怨むところがあり、
 側仕えを一人を伴に銀山城から兄の信直の所に帰り、光和に対する不平不満を訴えた。
 信直は妹の話を聞き、
 「こうなるとわかっていたのに、光和のお前に対する熱心さや左京亮の言葉に惑わされ、
  お前を銀山にやってしまった。こんなことになってしまって返す返すも無念だ。」
 と、光和から妹を受け渡すようにやってくる使者を色々と理由をつけては断り、
 ついには妹を三須房靖の所へ嫁に出した。
 光和はこれを聞いて腹を立て、信直に仕えていた僧を蹴ると
 「私に背くばかりか、元就の一味に加わりよって!
  お前の父・元信と私の父・元繁は共に元就に討たれた仲ではないか!
  私と共に父の仇である元就を討ってこそ、報いるべきだろう!
  それなのに逆に元就の味方に付き、私に仇なすとは!
  古人も「父の敵と同じ天を戴かず」、「父の仇を報いずは孝にあらず」というではないか。
  よってこれは私だけでなく、お前の父・元直にも背くことになるのだぞ!この親不孝ものが!
  親不孝ほど罪深いものはない!今に天罰を受けるぞ、信直!」
と斬りかかったが、信直を討ちとる他に鬱憤をはらすことはできないと
国中に軍備を呼び掛けた。」

・・・。
信直の妹強い。
信直の娘も舅の元就相手に3行しか書いていない文を送ったりとかなり強気な方ですが、
叔母にあたるこの人、光和と何があったのか知りませんが、
「実家に帰らさせてもらいます!」を戦国時代にまさか本当にするとは・・・。
まあ兄ならかばってくれると思っていたのかもしれませんが、
元・守護と国人が戦ったら、幾ら平家物語で有名な熊谷氏であろうと負け確実です。
それを承知で実家に帰ったのでしょうか・・・?
いずれにしろ戦国時代の女性って安芸では強いなあというのが今のところの感想です。

さて、この結果、武田氏から離反した熊谷信直は元就の下で忠臣として働きます。
二人はもともと初陣の元就に父親を討たれ、共に元就が父の仇ですが、
熊谷氏が元就の下へ走ったのは多分、ここにある妹問題だけでなくもっと根が深い気がします。
よって、本当は結びつかなかった可能性のある信直の妹と光和が縁を結んだという意味では、
無理にでも縁を繋げる強力な御加護があったわけであり、
そう考えればかなり強い縁結びの場所なのかもしれません。

もっともその後、幸せになるかどうかは本人の努力次第だったのは
今も昔も変わらないのだと思います。
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主に毛利元就から浅野長勲までの安芸の歴史に関するブログです。初めての方は目次へどうぞ。

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