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父上の遺言

さてこの間の記事の五龍城主宍戸氏ですが
味噌汁も冷めない距離ほどの近さなのに
元就の代まで、近すぎる故に所領などで
仲は決して良くなく敵対していました。
永正9年の安芸国人一揆には宍戸氏は加担しておらず
毛利領と宍戸領で小競り合いが続いていたようです。

しかし、車で10分もかからない所と
喧嘩状態というのは神経が休む間もありません。
そのため元就は家督を継ぐと
まず自分が攻めとった高橋氏の旧領を差し出し、
あまつさえ単身宍戸氏の五龍城へ泊りに行くという
徹底した低姿勢で同盟へこぎつけます。
丁度この時の宍戸氏の当主元源は豪放な人物だったようで
息子を亡くしていたのもあったのか
元就を大層気に入って枕を並べて夜遅くまで話しこみ
孫息子と後の五龍の結婚話まで整いました。
そして元就も元源の信頼に応えるべく
宍戸隆家を重用し、息子たちにもいい含めるのですが
これは元就の単独の考えではありませんでした。

気の強い五龍とあまり親族に気を使わない元春の嫁・新庄局の
嫁VS小姑戦争勃発で三兄弟の仲も微妙になった時に
隆元へ元就が出した手紙(毛利文書544号)によれば

「如に仰せ、爰元手本の味方には、誰にてもあるまじく候
 尼子方取りかけの時も、五竜はたと候つればこそ
 下麻原ちま坂、誠明隙候て候つる。
 五竜敵に成り候はば、勿論一大事の儀たるべく候。
 よくこそ我等縁邊申し合わせ候つれと存候き。
 それ弘元末期に、宍戸方と知音可為肝要由申置候つる
 興元わかく候て、其保なく、五竜と被取相候つる。
 弘元ゆい言むなしく仕故られ候かな。
 弓箭一圓成り立ち候はて、剰弓箭中に病死候つる。
 さ様の所如何と存じ候而、我等事元源□誠成水魚之思
 縁邊申し合わせたる事にて候つる。」
アバウト訳
「そうはいっても、私たちの味方は誰でもかれでもというわけではない。
 尼子方が攻めてきた時も、五竜城の宍戸氏が味方についてくれたからこそ
 下麻原、坂あたりの防御をゆるめておくことが出来た。
 もし、宍戸氏が敵になればそれは一大事になってしまうだろう。
 よく親戚として縁を結ぶことができたなあと思っているのだ。
 そもそも父の弘元は息を引き取る前に
 宍戸方と仲良くすることが肝要だと言い残していた。
 だが兄の興元はまだ若かったから、
 父の遺言を守ろうにもどうしようもなく、
 宍戸氏と事を構えることになった。
 父の遺言は無駄になってしまった。
 結局、戦になり、兄は戦の最中に病気で亡くなってしまった。
 そのような状況だったのに、どうしたことか元源殿は
 私に好意を抱いて下さり、水魚の交わりのような思いを持ってもらい
 互いに縁を結ぼうという話になったのだ。」



このあと、
だから元春の所と仲良くしているのは父さん嬉しいけえ
どうか内々でもめないように上手に兄弟をまとめるんで。
と続きます。

下麻原の後の「ちま」が地名なのか、読み違いなのか
なんなのか分からなかったので訳さなかったんですが
「まことあきらかな隙候て候つる」
とあるので尼子氏の大軍に対し、
少しでも守りを集めておきたかったという背景は分かるので
芸備線の吉田口のある下麻原(現・下小原)と
向原駅のある坂の東から吉田へ侵入してくる道を
宍戸氏がいるからと手薄にしても大丈夫だったから助かったという
意味は間違いないと思われます。

あと、やっぱり兄の興元が亡くなった時は
宍戸氏とも交戦中だったのだなあと思いました。
高橋氏とも仲がこじれて、宍戸氏とも仲悪くて
そうすると必然的に吉川氏と手を結ぶしかないです。
しかし、吉川氏よりもやはり近いのは宍戸氏です。
なので父の弘元も宍戸氏と仲良くしろと遺言しながらも
結局戦になったと手紙にあります。
兄はまだ若くてそれどころじゃなかったとかばっているので
父の臨終の場に興元と一緒に元就もいたんだろうなと推測されます。
そして兄の果たせなかった父の遺言を
きちんと守ろうとしているあたり律儀だなあと思いました。
元就さん、政治的な約束はいいように取りますが
こうした人と人との約束はできるだけ破らないようにしている気がします。

あ、で元源と名前で呼ぶあたり
本当に宍戸元源さんと仲良かったのだなと思いました。
水魚の交わりの如くとありますが
滅多にこんな言葉使わないので相当親しかったのだろうと思います。
父のない子と子のない父だから
余計に馬があったのかもしれません。

あと、元源さんから親しく思うようになってくれたんだ
と書かれているんですが、史実は先ほどのように元就から
相当アプローチがありました。
基本、元就さんは自分の手柄をいいふらすタイプでなく
なんでだか分からないけど相手がいいようになってくれた。不思議だなあ。
と言うことが多いんですが
実際は相当動いています。
能ある鷹は爪を隠すと言いますが
本当にそんな感じです。
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主に毛利元就から浅野長勲までの安芸の歴史に関するブログです。初めての方は目次へどうぞ。

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