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春霞集もとい毛利元就詠草集・発句の部その2 鴬を待つ

発句
梅が香の鶯さそふ軒端かな

 是又古今集に。
 『花の香を風のたよりにたくへてそ
  うくひすさぞふしるへにはやる』
 紀友則の花とよめるを梅に顕さるる心。
 殊勝にこそ。」


「梅が香の 鴬さそう軒端かな」
歌意
「軒端にいると梅の花が春になったよと
 鴬に知らせるように香っている。
 早く鴬が鳴かないかなあ。」
批評
「これもまた古今和歌集の春の13番に
 『花の香を 風のたよりに たぐえてぞ
    鴬誘う 標にはやる』」
 とあるように
 『春の風を花の香りと一緒に運ばせて
  まだ谷間で眠っている鴬に
  「春になったから谷から早く出ておいで」
  と誘い出す合図に送ってやるんだ。』
 と紀友則が詠んだ花を庭先に咲く「梅」ととって詠んだ心。
 素晴らしいですね。


シンプルですが、本格的な春を待ちわびる心がよく表されている歌ですね。
俳句にしても遜色はないと思います。
むしろこれで完結してもいいぐらいなので
逆に後を付けて詠む人が困ったのではと思うんですが。
まあ、普段から連歌しているから家臣の皆さんも
元就さんのこういう手法に慣れているでしょう。

まず、本歌、紀友則の歌。
これは鴬は春が来るまで谷間に籠っていて
春になると里に出てくる。
と思われていたので、
「春だから里に出ておいで」
と春風と花の香りを一緒にして
鴬に知らせてやらねばと詠んだ歌。
なので「鴬さそう」を後の歌人は派生歌に取ったそうです。

なので「鴬さそう」の後は本来「花」「風」「たより」が来るのですが
「花」をわざわざ「梅の香」ととった。
里村さんはこれを絶賛していますが、
「花」は「梅」というのは周知の事実。
なので別段変わったことはしていません。
しかし、「花の香」よりも「梅の香」としたほうが
梅の鮮烈な匂いを感じる事ができます。
また、先に持ってくる事で「梅の香」が辺りに濃く漂っているイメージが湧き、
そう言う所を「殊勝」としたのかなと思います。

個人的には「鴬さそう」の後を「軒端」としているほうが
この歌を引き締めていていいなあと思いました。
風につながる歌なので、景色が広くなりがちな所を
「軒端」にある庭の梅をみていると視点を絞っています。
また、「鴬さそう」も誘われたのは鴬だけでなく、
「軒端」の側にいた自分も誘われた。

軒端に植えてある梅の香りに気付いて
鴬を誘っているようだなあと思ったけど
私も誘われる様に梅の香りに引き寄せられていた。
ああ、早く鴬が鳴いて春にならないかなあ。

と軒端で春を待ちわびている心を
紀友則の歌を使ってよく表しているなあと思います。
もっとも
「玉簾まくてふひまのなそもかく鶯の音に立うかれけん」
と詠んだように、鴬が鳴いたら鳴いたで
「よっしゃ!春じゃ!
 ・・・じゃけど仕事が忙しうて外をちらっとも観る時間がない。」

となるんでしょうなあ。


発句その1

発句その3 梅と霞
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主に毛利元就から浅野長勲までの安芸の歴史に関するブログです。初めての方は目次へどうぞ。

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