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春霞集もとい毛利元就詠草集・発句の部その10~秋の訪れ~

薄霧やまかきの花の小萩原

 小萩原を霧の籬にかこひなしたる心こまやかなり。
 原と云う字眼なるへさか。」

「薄霧や まがきの花の小萩原」
歌意
「霧がうっすらとたちこめて
 まるで白い花咲く垣根のように
 萩の花咲くこの小さな萩原をかこっているよ。」
批評
「小萩原を霧の垣根に囲まれたと考えられたのは
 美しい景色をよくとらえています。
 原という字が眼となって、歌の終わりをきれいにまとめていますね。」


まさしく秋の歌ですね。
吉田など県北は雲海ができるほどの霧の名所です。
秋になると夜中、地面からもやっと霧が立ち上がり
下手すると数メートル先が見えないほど濃いくなるんですが
ここでは「薄霧」とあるので、霧はそこまで濃くない。
でも、「垣根」のように空間を区切るほど白くたちこめていたのでしょう。

そしてその霧を「まがきの花」と例えています。
垣根は「ウツギ」を用いることが多く、「ウツギ」は4月から7月に白い花を咲かせます。
夏の名残りの白い花を咲かせる垣根のような
秋の始まりを告げる白い霧。
季節の移ろいがこの一つの言葉に凝縮されているなと思います。

最後に「花の小萩原」
霧に囲われ視界があまりないので、
小さく囲われた萩の原っぱ。
萩は秋の七草に数えられるほど代表的な秋の花。
小さく可憐な赤紫の花を咲かせるのですが
霧の取り囲むような大きい白さと
こじんまりとある萩の赤紫の小さな花の対比。
それを「萩の花」とせずに「小萩原」と「原」にしたことで
奥行きのある歌になっています。

霧が垣根ぐらいの高さになって
朝の光に照らされたのは
霧に囲まれた小さな萩の花咲く原っぱ。
露まできらきらしている様子が浮かびました。

千入りにもひかりやそめし秋の月

 草木のみ色ふかきといひならはしたるに。
 月色まことにめつらしく侍る哉。」

「千入りにも 光や染めし 秋の月」
歌意
「何度も何度も光を染めたに違いない 
 煌々と照る秋の月よ」
批評
「普通、色が深いことを「千入り」と表すが
 それは草木のことだけで、
 月の色、光自体を染めるとは
 本当に清新ですね。」


うわあ、これいい歌ですね。
まぶしいほどに光を放つ秋の月。
その月を見上げている感じがします。

「千入り」ですが、元就さん別の歌でも使っていて
その時には
「千入りなるらん」を梅の花の色にしていました。
批評にあるように普通千入りで染めるのは「植物」。
なので植物の色が鮮やかな時に使う表現なのですが
「光を染める」という発想はなかなか綺麗な表現だなと思います。

そして最後の「秋の月」。
ありふれた言葉ですが、「秋」と季節を入れることで
秋の高く澄んだ空に、まばゆく輝く月と
涼やかな風に虫の鳴き声まで聞こえる。
誰もが一度は感じる秋の夜の美しさを
見事に表現しているなあと思います。

その9  梅雨と暑中

その11 仁保の浜の月、時雨の紅葉
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主に毛利元就から浅野長勲までの安芸の歴史に関するブログです。初めての方は目次へどうぞ。

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